Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県で診療・執筆・講演・研究・web発信などをしている。南日本ヘルスリサーチラボ代表、鹿児島県 参与(地方創生担当)

嚥下内視鏡検査って何?【動画で解説】

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170224104225p:plain

 

登場人物

 

f:id:mnhrl-blog:20170220142607g:plain

森田先生:とりあえず何でも診る総合診療(プライマリ・ケア)の医師。40代。

 

f:id:mnhrl-blog:20170220142705p:plain

Oさん:75歳。元エリート公務員。プライドが高くすぐ怒る。

 

 

   

(前回からの続きです)

  ↓↓  前回  ↓↓

 

 

 

 

森田「…(嚥下内視鏡の)具体例を見てみましょう。この方、90歳女性。介護施設で生活されています。というのも、1年前に脳梗塞を起こされて、その時に『口からは食べられない』と医師から判断されたのです。おそらくその時はそうだったのでしょう。で、その後1年ずっと絶食。管からの栄養で生きておられました。で、1年経ったあと、嚥下内視鏡で検査した時の動画がこちらです。」

 

 


嚥下内視鏡

 

 

Oさん「こんなもの見ても、ワシにはわからん!!」

 

森田「ですよね(^_^;)説明します。これはノドの奥の映像なんです。カメラが鼻から入って、ちょうどノドちんこの裏あたりで止まってる感じ。そのカメラで、食べ物がどう通過していくかを見るわけです。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170220155329p:plain

 

Oさん「気管の方がこんなに開いているのか。これでよく食道に食べ物が通るな。」

 

森田「そうなんです。下の方に大きなヘラみたいなのが見えますね。これが飲み込む時気管の入り口をガバッとふたしてくれるんですよ。で、その瞬間に食道に食べ物が送られる。」

 

Oさん「複雑な動きをしているんじゃな。」

 

森田「そうなんです。で、間違えて気管の方に食べ物が入っちゃうと…それを『誤嚥』と言うわけです。これが『誤嚥性肺炎』とか、ごく稀に『窒息』とかの原因となるわけですね。」

 

Oさん「むむ!窒息か…それは大変じゃ…」

 

森田「そう。ですので、この方はそうならないように鼻からノドを通って食道・胃袋までチューブが通されています。動画の中間あたりに映っていますね。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170220155558p:plain

 

森田「このチューブの中を食べ物が通れば『誤嚥』して気管に食べ物が入ることはありません。『胃ろう』だと、そもそもノドを通らずに、胃に直接栄養が入るので同様に安心ですよね。」

 

Oさん「なるほど。確かに理屈はそうじゃな。で、検査はどうなんじゃ。」

 

森田「そうそう検査は、カメラで見ながらゴックンと飲み込んでもらって、ノドの動きを見て、そのあと気管の中に食べ物が入りこんでないか確認するわけですが…見ておわかりの通り、飲み込んだあとも気管の中に何も入ってない。結局この方はしっかり飲み込めてるんですね。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170220155611p:plain

 

 

Oさん「そうか、良かったな!これで安心して食べられる。素晴らしい検査じゃ!…っておい。だから、どうしてこういう食べられる人が、管を入れられて『食べちゃダメ』といわれてたのか、そこの説明がないぞ!」

 

森田「ですよね(^_^;)。僕が思うに、その理由は主に2つあるんじゃないか、と。」

 

 

 

「食べちゃダメ」の2つの理由

 

 

 

森田「まず一つは、医療側の問題。つまり、もっと援助すれば食べられるようになるかもしれないのに、人手不足でなかなかそこまで手が回らないとか、あと単純に『嚥下内視鏡』などの検査がそこまで一般的には普及していないので、脳梗塞発症から数ヶ月経って食べる機能は回復してるのに適切な評価がなされない、とかですね。」

 

Oさん「そうか、病院も施設も人手不足というからな…。しかし、嚥下内視鏡も広まっていないのか?こんなに素晴らしい検査なのに…」

 

森田「そうですね、なかなか『全国どこでも受けられる検査』とまではいかないようです。都市部ではだいぶ増えてきたようですが…以下のサイトで検索すると地域のどこで何が出来るのか、分かると思います。ちなみに嚥下内視鏡は『VE』と表示されています。」

 

 

摂食嚥下関連医療資源マップ
https://goo.gl/7A03SO

f:id:mnhrl-blog:20170220155642p:plain

 

Oさん「こんなにいい検査ならもっと増やさないといかん!国は何をやっとるんじゃ!」

 

森田「まあまあ、確かに、こうして映像でハッキリと確認できる『嚥下内視鏡』は素晴らしい検査なので普及して欲しいところです。でもですね、実は飲み込みの検査は嚥下内視鏡だけでなく、他にもレントゲンで検査ができる嚥下造影検査(VF)だってありますし、もっと簡単に『水飲みテスト』というのだってあるわけです。これ、僕が絶食中のお婆ちゃんに水飲みテスト(3cc)しているところです。お婆ちゃん、とても喜ばれて『美味しい』と言ってくれました。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170220155814p:plain

【参考】 摂食・嚥下難易度レベルの判定方法(嚥下食ドットコム)

 https://www.engesyoku.com/kiso/kiso07.html

 

 

Oさん「むむ、そうなのか・・。」

 

森田「そうなんです。つまり、嚥下内視鏡は素晴らしい検査でもっと普及すべきですが、飲み込みの検査は、しようと思えばどんな風にだって出来るんです。ですので、実はもっと根本的な問題、今から説明する2つめの理由の方がより重要なのではないかと、僕は思っています。」

 

Oさん「それは何じゃ?」

 

次回へ続く

 ↓↓ 

 

 

 

 

 未来に残すべき

『価値あるアイデア』を。

 

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170215084705j:plain

爺ちゃん婆ちゃんが輝いてる!
職員がほとんど辞めない!
施設で職員の結婚式も!
最期は家族のようにお看取りまで…

…辛い・暗いの介護のイメージをくつがえす
「あおいけあ」流介護の世界。
加藤忠相を講師に迎えた講義形式で展開
される講義の受講生はおなじみのYさんとN君。

マンガ・コラム・スタッフへのインタビューなど
盛りだくさんの内容でお送りする、
まさにこれが目からウロコの次世代介護スタイル。

 

超高齢化社会も、これがあれば怖くない!

 

書籍ページへ →

 

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170215085310p:plain

★★★★★★★★★

日本医学ジャーナリスト協会
優秀賞受賞作品(2016)
★★★★★★★★★

財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から
医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、
日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

森田洋之 著

 

書籍ページへ →