Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県でフリーランス医師。懲りずに執筆・講演・研究・web発信など儲からないことばかりやっている。

胃ろう・絶食の人も実は8割食べられた!【衝撃の学会報告】

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登場人物

 

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森田先生:とりあえず何でも診る総合診療(プライマリ・ケア)の医師。40代。

 

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Oさん:75歳。元エリート公務員。プライドが高くすぐ怒る。

 

 

森田「今回は3回シリーズで『食べる』ことについて勉強していきましょう。」

 

Oさん「そうじゃな。わしも『食べる』のは大好きじゃから。」

 

森田「ですよね、みんな『食べる』ことが好き。でも脳梗塞などが原因で、病院で『食べちゃダメ』と言われる方も多いんですよ。」

 

Oさん「何!わしがそんなこと言われたら困るぞ!死んでもいいから食べる!」

 

森田「ま、Oさんはそう言うでしょうね(^_^;)。それは置いといて、実は去年、日本老年歯科医学会の全国大会で衝撃的な報告がありました。医師から『食べちゃダメ』と言われて胃瘻などの管から栄養を補給されている方々のうち8割の方が、実は食べることが出来た、という報告です。」

 

Oさん「なに!本当に食べられないなら百歩譲って我慢するかも知れないが、食べられるのに、食べちゃダメとはどういうことだ!!」

 

森田「まあまあ、出だしから怒ってたら身が持ちませんよ。まずはデータを見ていきましょう。」

 

Oさん「そうじゃな、実はいろいろな事情があるのかもしれないしな。」

 

森田「これは、鹿児島県の訪問歯科の先生たちの取り組みです。こちらの歯科医師さん、歯科衛生士さんたちのチームは、患者さん一人一人に対して『どれくらい食べられるのか』、『どれくらい飲み込む力が残っているのか』を、『嚥下内視鏡』という検査で評価して、さらに食べる・飲み込む練習・リハビリ(食支援)をしてくれるんです。」

 

Oさん「それはいいな!」

 

森田「これを、在宅でも、介護施設・病院でも、どこにでも出張していろいろな場所でやってくれます。そんな取り組みを445人の患者さんに行った結果の報告なんです。」

 

Oさん「なるほど、素晴らしい取り組みじゃないか。で、その『えんげ・・』なんとか、と言うのは何じゃ?」

 

森田「嚥下内視鏡はですね、この写真のように鼻から細い管をいれて、先端のカメラでノドの動きを見るものなんですね。持ち運びができるので、どこへでも持っていけます。」

 

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Oさん「鼻から入れる胃カメラみたいじゃな。」

 

森田「だいたいそんな感じです。ノドの手前までなので、長さはもっと短いですけどね。」

 

Oさん「それを400人以上やったのか、すごいもんじゃな。」

 

森田「その445人の患者さんのうち154人は全く口から食べていない状態、つまり体に必要なすべての栄養を、胃ろうなどの管から補給している状態だったそうです。その方々に、嚥下内視鏡で検査をして、その後食べる練習もした。で、その後にどうなったかというのが、このグラフ。」

 

 

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Oさん「8割も食べられたのか!すごい結果だな。」

 

森田「ですよね。実は8割の人が食べられる!のに現場では食べることを禁止されている・・。けっこう衝撃的です。ちなみに、この結果は『少しでも』食べられるようになった方、ということですが・・実は、『全ての栄養を口から』食べられるようになった人、つまり管からの栄養が必要無くなった人もいたそうです。この報告では『胃ろうなどの管で栄養を送られていた人』のうち1割は『全ての栄養』を口から、食べられるようになったそうです。」

 

 

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Oさん「それは素晴らしい!いい取り組みに出会えた人たちは幸せじゃな。しかし、やれば出来るのに、なんでこの人たちは食べられなかったんじゃ?医者が禁止したのか?」

 

森田「そうですね〜、それにはいろいろな理由が考えられますが…。」

 

Oさん「こら!何を言うか!食べるということは、人間として、いや生物とし何よりも大事なことじゃ!特に我々高齢者にとっては大きな生きがいなんじゃぞ!それを簡単に禁止されたり、やっぱり食べられるとか、医者がこんないい加減なことでいいのか!」

 

森田「う…そうですよね。なぜこうなってしまうのか・・。具体例を見てみましょう。この方、90歳女性、介護施設で生活されています。というのも、1年前に脳梗塞を起こされて、その時に『口からは食べられない』と医師から判断されました。おそらくその時はそうだったのでしょう。で、その後1年ずっと絶食。管からの栄養で生きて居られました。で、1年経ったあと、嚥下内視鏡で検査した時の動画がこちらです。」

 

 

次回につづく

  ↓↓

 

 

 

 未来に残すべき

『価値あるアイデア』を。

 

 

 

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爺ちゃん婆ちゃんが輝いてる!
職員がほとんど辞めない!
施設で職員の結婚式も!
最期は家族のようにお看取りまで…

…辛い・暗いの介護のイメージをくつがえす
「あおいけあ」流介護の世界。
加藤忠相を講師に迎えた講義形式で展開
される講義の受講生はおなじみのYさんとN君。

マンガ・コラム・スタッフへのインタビューなど
盛りだくさんの内容でお送りする、
まさにこれが目からウロコの次世代介護スタイル。

 

超高齢化社会も、これがあれば怖くない!

 

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★★★★★★★★★

日本医学ジャーナリスト協会
優秀賞受賞作品(2016)
★★★★★★★★★

財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から
医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、
日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

森田洋之 著

 

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