Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県で診療・執筆・講演・研究・web発信などをしている。南日本ヘルスリサーチラボ代表、鹿児島県 参与(地方創生担当)

【医師直伝】処方箋なし(受診・診察なし)でも『薬局』で『病院の薬』が買えるって本当?

 

 

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ざっくり言うと

 

1.『病院の薬』も条件次第では『薬局で買える』かも。どんな薬が買えるのか?

 

2.『市販薬』の中にも『病院の薬』と効果が同等なものがある。

 

   

 

A医師「ねえB君、このまえちょっと小耳に挟んだんだけど、僕たちが患者さんに毎日出してる薬。実は薬局に行くだけで買えるかもしれない…?…って、そんな話聞いたことある?」

 

B医師「おいおい、冗談だろ。医師が出す処方薬は、薬局で売られてる市販薬と違って効果が強いんだ。医師の診察も処方箋もなしに買えちゃったら危ないだろ。そんなことあるわけがない。」

 

A「それがさ、そうでもないらしいんだよ。え〜…(スマホ出す)……厚労省も去年こんな通達を出してる。」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/yakkyoku.pdf

 

B「え〜、なになに?」

 

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B「やむを得ず販売を行わざるを得ない場合においては……って言うことは?、やむを得なければ薬局で売っていいということか?」

 

A「もちろん、この文章の後には、『数量を限定する』とか、『薬剤師の対面販売が必須』とか、いろいろ条件が書いてあるけどね。」

 

B「いやいや、でもまさか、本当に薬局で売ってるわけではないんだろ?オレの周りでそんな薬局はないぜ。その『やむを得ず』というところの判断基準が厳しいとかで、実際には売られていないんじゃないの?」

 

A「それがね、もう普通に売ってる薬局が結構あるらしいんだよね。ほら、ここでニュースになってる。」

 

処方せんがなくても病院の薬が買える「薬局」が東京都・池袋にオープン(2016年11月マイナビニュース)
http://s.news.mynavi.jp/news/2016/11/30/180/

 

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B「なになに!?『…同薬局では、医療用医薬品を処方せんなしで購入できる。経験豊富な薬剤師や看護師がカウンセリングしながら、約7,000種類の医療用医薬品を販売する』???」

 

A「そう。もう、最近はこういう薬局が出てきてるらしいんだよね。オレも知らなかったけど。実は近くの薬局でも、聞いてみたら売ってくれるのかも知れないよ。

 

B「いや!これはアウトだろ。こんなことしていいワケがない!」

 

A「まあまあ、そう興奮せずに。病院の処方薬の全部がその対象というわけではないらしい。いつものここPMDA(医薬品医療機器総合機構)http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html で検索してみると…例えばそうだね、痛み止めでよく使われる『ボルタレン』って入れてみよう。」

 

 

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A「で、出てくるのがこんな画面。」

 

 

 

 

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A「ほら、ここに『処方箋医薬品』と『処方箋医薬品以外の医薬品』ってあるでしょ。後者の方なら、処方箋がなくても買える可能性があるってことだ。」

 

B「なるほど……。ボルタレンなら、座薬や飲み薬は『処方箋医薬品』だな。だから医師の処方箋が必要。その代わりボルタレンの湿布や塗り薬は『それ以外』だから、薬局で買えちゃうのか・・」

 

A「そうみたいだね。ここでいろいろ調べてみると、大体のところ、抗生物質ステロイド睡眠薬の飲み薬は『処方箋薬』だから処方箋が必要だ。」

 

B「それは当然だ。この辺の薬は用法用量を間違えたら健康に大きく影響するからな。」

 

A「でも、僕らがいつも出してる風邪薬なんかは大体『それ以外』の方だよ。」

 

B「なになに?…カロナール(解熱鎮痛薬)も『それ以外』か…ムコダイン(去痰薬)も …アストミン(咳の薬)アレグラ(アレルギー・鼻炎薬)…この辺全部、薬局で買えるじゃないか!」

 

A「そう。ステロイドの塗り薬も、湿布漢方薬も大体薬局で買えちゃう。」

 

B「おいおい!こんなことが日本中に広がったら、大変なことになるぞ!」

 

A「え?なんで?」

 

B「え?…なんでっておまえ…」

 

A「いや、オレもこんな話、今まで知らなかったけどさ、でも同じようなことは患者さんに言ってたよ。風邪の薬なんかは、市販薬(一般用医薬品)でも十分に対応できることも多いからね。」

 

B「え!?…市販薬で?」

 

A「そう、例えばインフルエンザの解熱に、特に子供にはボルタレン・ロキソニンは使えないよね。」

 

B「そう。だからアセトアミノフェン(カロナールなど)だ。」

 

A「でもアセトアミノフェンは、市販薬でも売ってる。」

 

B「え!!そうなの?」

 

A「そうだよ。知らなかった?…ほらこれ(スマホで検索)。例えば、薬局で普通に買える『ノーシンAC』」

 

 

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B「そうなんだ・・『ノーシンAC』ってアセトアミノフェンなんだ…。」

 

A「そう、子供用だと、『小児用バファリンCII』なんかはフルーツ味のアセトアミノフェン。だからオレは患者さんに『万一解熱剤が足りなくなったら、薬局でこの薬を買って飲んでも効果は同じだよ。』と言うことも多いよ。」

 

B「し、しかし……」

 

A「ん?何が問題なんだい?」

 

B「法的には問題はないかもしれないけど、医師としてそれでいいのか…?」

 

A「いいんじゃない?だって、君のクリニックにもデカデカと『患者さん第一』って書いてあるじゃない。お母さんが忙しくてなかなか時間内に受診できない子供だっている。解熱剤だけもらうためにまた病院に行ったら他の病気をもらうことだってあるかもしれない。市販薬の方が『患者さんの利益』になる、と思える時だってあるだろ?逆に、患者さんの利益になるかもしれないことを考慮しない、あえて選択していない君のほうが不誠実なんじゃないの?」

 

B「う……」

 

A「結局さ、『患者さん第一』なんて言ってるけど、君は『患者は無知』だと思って下に見ているんだよ。信頼もしてないし、縦の関係からも脱していない。薬剤師さんのことも信頼してないんだろう?上から目線で、患者さんの生活背景・家族関係などに一つも配慮せず、法的に認められていることさえも考慮せず、『薬が欲しいならオレのところへ来い』と診察室でふんぞり返っているわけだ。」

 

B「むむう!…なにを、このやろう!おれだって患者さんのことを信頼してる!診察室でふんぞり返ってなんていない!患者さんのために毎日汗水たらして頑張っているんだ!」

 

A「そうかね〜。普段から患者さんとコミュニケーションとって信頼関係があるなら患者さんの自己判断を尊重できるはずだし、薬剤師さんだって信頼出来るはずだ。それが地域医療ってもんじゃないかね〜。なんでもかんでも自分が決めなきゃって思ってるおまえなんか全然地域のことわかって……」

 

B「うるさい!…おまえにそんなこと言われる筋合いはない!…そんなことより!偉そうにオレに説教する前に、この前立て替えた飲み代、耳をそろえて返せ!」

 

A「なに?あれは学生時代の麻雀のツケでチャラにしたはずじゃないか!」

 

B「うるさい!そんな時効になった話で……」(以下、くだらないので割愛(^_^;))

 

 

 

 

 未来に残すべき
『価値あるアイデア』を。

 

 

 

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財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から
医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、
日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

森田洋之 著

 

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