Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県でフリーランス医師。懲りずに執筆・講演・研究・web発信など儲からないことばかりやっている。

高齢者の運転事故多発!((((;゚Д゚)))) → もっと規制を!と思う前に 〜統計データ検索の3つの裏ワザ〜



 高齢者の運転に起因する事故の報道が連日相次いでいますね。

これを受けて、昨日(11/15)安倍首相が対応を指示したようです。


高齢者運転事故「喫緊の課題」 安倍首相が対応指示
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2916137.html

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 事故で命を落とされた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
本当にこうした事故は減ってほしいものです。

 

 そう、減ってほしいですよね・・。

ん?・・・減ってほしいということは増えてるということかな?

…さあ、どうなんでしょう。

 

 

 ちょっと昔の話ですが「酒鬼薔薇事件」のことを思い出してください。
あの時も、少年犯罪のことが多く報道されました。・・・で、

 

「今の子供達は何を考えてるんだか・・怖いわね〜」

 

というようなご婦人のご意見よくワイドショーなどで聞かれましたね。

じゃ、少年犯罪って増えてたんでしょうか。

 

調べてみると…実は少年犯罪は、戦後に激増して、その後は一貫してずっと減っているんです。
それがよく分かるのがこちら。

 

 

少年犯罪データベース 「少年による殺人統計」
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm

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つまり、

「今の子供達は何を考えてるんだか・・怖いわね〜」

とおっしゃる方々の子ども時代のお友達のほうがずっと凶悪だったわけです(^_^;)

 

同じく、銃乱射のなど報道を見聞きする米国もそう。
実は米国でも他殺率は減っているそうです。
でも米国民も「殺人事件は増えている」と思っている(^_^;)。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2776.html

 

 

 

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報道される頻度の多寡が、我々の印象に大きく影響するのかもしれませんね。

 

「里山資本主義」などで有名な藻谷浩介さんは、講演でいつもこうおっしゃられます。

 

我々は、数字を見ないで議論することが多い。
 その上で、間違った社会通念が流布してしまう。
 事実確認の習慣がないという生活習慣病にかかっているのではないか。

 

と。(出展:井上貴至(長島町副町長・地方創生担当)さんのブログhttp://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68602028.html

 

 

 

 

 

 では、話を戻しまして『高齢者の運転事故多発』の件…

 

これについても我々は、

「酒鬼薔薇事件」や「アメリカの銃乱射」と同じように

報道の多寡に惑わされているのでしょうか…?

 

 

では調べてみましょう。

 

 

でも、こういう調べ物って慣れてないとコツが分かりませんよね。

今回は、そんな時のコツ→統計データ検索の3つ裏ワザ!をご紹介します。

こういう時便利なのが、Googleさんです。

 

 

① 「統計」をつけて検索する


まず、今回は、「高齢者の運転による事故は増えているのか?」という疑問ですので、

Googleでの検索語句は「高齢者 運転 事故」としましょう。

ここまでは普通。

 

で、その時、最期に「統計」を付けてください。

つまり検索窓には、「高齢者 運転 事故 統計」と入れるわけですね。

こんな感じ。

 

 

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すると出てくるのがこちら。

 

f:id:mnhrl-blog:20161116114756p:plain

 

 

 

「広告」やら

「政府の白書」やら

「ブログ記事」まで…ごっちゃにいろいろでてきますね。

 

でも、これをイチイチ見るのはめんどくさい!……(^_^;)。

そんなあなたに朗報が!

 

 

② 「go.jp」も入れる

 

 次に、「統計」のあとに「go.jp」もいれてみましょう。

「go」は「government(政府)」のこと。

つまり、これで政府系の公式データのみがひっかりやすくなるわけです。

 

検索結果はこうなります。

 

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内閣府とか警察庁のデータになって、だいぶスッキリしました。

 

ん?これでもまだいちいち各サイトに行くのはめんどくさい?

 

…ですよね。そんな面倒くさがり屋さんのあなたに朗報が!!

 


③ 最後に「画像」をポチっとする。

 

 

検索窓の下に「画像」というボタンがありますね。

そう、ここ。

 

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ここをポチッとします。

すると出てくるのがこちら。

 

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「高齢者の運転事故は増えてるのか?」

の答えになりそうなグラフがいっぱいでてきました!!

 

それでは試しに、この中でトップにヒットしている

(一番左上の)画像を見てみましょう。

 

 

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http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/html/s1-2-6-02.html

 

 

 そう、ここに欲しいデータの概要がでていますね。

 

つまりこれによれば

 

◯高齢者による交通事故件数(ピンクの棒グラフ)は増えている!←(やっぱり!)

 

◯全事故数のうちの「高齢者による事故」の割合(赤点・赤線)も増えている!←(ここまで報道通り)

 

 

 

「ん?でも待てよ?高齢者の人口って、どんどん増えてるよな…。」

 

だって、今のお爺さんお婆さんの子供時代は人口構成はこんな感じ

(高齢人口もこれだけ)でしたが、

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今はなんとこんな感じです。

 

 

 

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 (以上、国立社会保障・人口問題研究所より)→人口ピラミッドのダウンロード

 

 

 

 

つまり、母集団である高齢人口は以前とは比較にならないほど増加中。

なら高齢者の起こす事故件数も増えるよな〜。

さらに言えば…でも高齢者全員が免許持ってるわけではないよな〜。

なんて考えるのが自然の流れですね。

 

 

・・・ということで、

「高齢者(免許保有者)の増えている度合い」と、

「高齢者による事故の増え具合」はどんな関係なのでしょうか。

 

それが

 

 

 

「高齢者(免許保有者)のうち交通事故を起こした人の割合」(緑三角・緑線)

 

 

 

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で、これはほぼ変わっていない…(^_^;)

 

あれ?首相が「喫緊の課題」として対応を指示までしてるのに、

連日のように、「高齢者の交通事故」の報道がなされているのに、、、。

実は高齢者が事故をおこす頻度は増えてない??


 少なくとも、連日の報道でいだいてしまいがちな 

「認知症の方や高齢者などの運転で犠牲者が、ここ最近で激増している!」

という印象とはちょっと違う感じですね。



 そう、まさにアメリカの犯罪率と一緒。

報道で抱く我々のイメージと統計的事実は結構違うことが多いのです。

 

 ちなみに、ここまでたどり着くのに、慣れてくれば数分です。

 

 さあ、もう今は、最初の段階、

 

「毎日ニュースでやってるし、安倍首相も対応を指示してるし、

 高齢者の事故が増えてるんだな〜、規制しないとな〜。」

 

と思っていたのが、「昔のこと」のように感じられますね。

 

「間違った認識で社会通念が流布してしまい、

 その結果社会の中に『〇〇をxxしないと大変!』

 という空気が醸成されてしまう」

 

もしそんなことがあるのだとすれば…

それは我々の社会にとって決して良いことではないはずです。

 

そう、ネット時代の我々は、

こんなに簡単に「より確からしいデータ」にたどり着けるのですから。

 

…そして、我々はこうデータを知った上で、

 

「それでも数は増えてるんだから、犠牲者は極力減らすべき!」とか

「高齢者から移動手段を取り上げたら、社会生活が出来ないのでは?」とか、

「今の技術なら、誤操作による急発進も、ハンドル操作ミスも

 キチンと制御できるんじゃない?」とか、

 

社会にとって、我々個人にとって、どんな形が理想的なのか、

みんなで知恵を絞って考えるべきなのではないでしょうか。

そんな建設的な議論が展開されるといいな〜、と僕は思います。

 

このブログに書いたとおり、

 

 

 

www.mnhrl-blog.com

 

 

「リスクはゼロを目指すものでなく、個人や社会にとって利益が最大限になるように上手にマネージメントするもの。」

 

だと僕は思っていますから。

 


 (ちなみに、こちらは平成22年までのデータですから、

  もしかしたら今は増えてるかもしれませんよね。

  もしそう思ったら、今度は平成◯◯年とかいれたり、

  いろいろ検索してみてください。面白いと思います。)

 

 

…さてさて、おや? またニュースが飛び込んできました。

 

www.asahi.com

 

 こんな事件も最近頻繁に報道されますよね。

 

「最近の若い親は何考えてんだろうね〜」

 

 と思う前に・・・そう、もうおわかりですね。

 

例えば「幼児殺人」に

① 「統計」をつけて検索してみる。

② 「go.jp」をつけて検索してみる。

③ 最後に「画像」をポチッとする。

 

 やってみてください。

また新たな世界がみえてくると思いますよ。

 

 

 

 未来に残すべき
『価値あるアイデア』を。

 

 

 

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日本医学ジャーナリスト協会
優秀賞受賞作品(2016)
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しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。

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「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

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