Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県でフリーランス医師。懲りずに執筆・講演・研究・web発信など儲からないことばかりやっている。

薬は飲むな?やっぱり飲むべき?…週刊現代を読んで迷ったときに考えるべきこと。

 

f:id:mnhrl-blog:20161004094558j:plain

週刊誌の「薬は飲むな」キャンペーン 

 

 



「薬は飲むな」男性誌キャンペーンで診療不信の患者殺到、病院がパニックに…

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160704-00067471-playboyz-soci

 

 

週刊誌で話題の「薬は飲むな」キャンペーン。

ありがたいことに当ラボにも取材依頼がいくつか頂いていますが、

大変勝手ながら・・・今のところお断りしております。

 

なぜなら、このテーマについては、一つ一つの薬剤がどうこうという問題ではなく、

医療業界含め、国民全体でもっと深い議論がなされるべきだと思うからです。

 

 

という思いを説明したのが、以下の電話取材への対応です。

(たまにいきなり電話がきまして、断れず・・いろいろ聞かれます(^_^;)。)

 

 

で、電話はこんな感じ。

 

 

 

 以下、電話対応のあらすじ

 

「先生、飲まなくていい薬ってありますよね。」

 

「いえ、そもそも、飲まなくていい薬、というものはありませんよ。

 飲む、飲まないは医師の助言と患者さんの同意のもと決まるものですから。

 飲みたくないならしっかりとその理由を医師に伝えて、

 話し合った上で断るべきなのです。」

 

「でも、医者の助言もまちまちでは?」

 

「それは当然です。

 実は、特に慢性期医療・高齢者医療の世界の多くに正解はありません。

 たとえ正解と言われるような説があっても、その正解が数年後には覆されている、

 こんなことはよくあることです。」

 

「じゃ、患者はどうすればいいんですか?」

 

「どうすればいい・・。簡単ではないと思いますよ。

 どんな素晴らしい薬にも副作用はあるのですから。

 それでも絶対に薬が必要な時だってありますし、

 その薬がないと1日も生きられない人だっているのです。

 その人に必要な医療の量は千差万別。

 正解なんてないのです。」

 

 

「正解がないって言われても患者は困りますよ」

 

「そこが大事なんです。

 困るということは、悩むということ、自分で考えるということ。

 医者にお任せしてしまっているから、『医者のせい』にしたくなるのです。

 

 急病で、そんなこと考える時間がない、というケースもありますが、

 いま話題になっているような薬は慢性疾患ですよね。

 勉強する時間、考える時間、悩む時間はたくさんあるはずです。

 

 つまりこれは、『医者にお任せ』で

 自分の健康を外注して安心してしまっている

 これまでの典型的な患者像の問題でもありますし、

 一方で、『この薬を飲みなさい、何も聞かないでよろしい』

 という父権的で(時間もない)これまでの典型的な医師像の問題でもあるのです。

 

 ・・でも、どちらが悪い!とかいっても始まりません。

 『薬』が悪いとか、『医者』が悪いとか、『クレーマー患者』が悪い!

 で済むような話ではないのです。

 

 正解はないという前提のもと、たとえベストではなくても、よりベターな方法を、

 医師と患者がしっかりと話し合って、信頼関係のもとで、処方内容を決定する。

 こういう世界を模索していくべきなんです。

 そのためには何が必要か?

 たとえば・・・

 

 今の外来患者数、多すぎない?(日本の外来患者数は世界最多)とか、 

 リフィル処方って何?(高血圧などの処方は受診無しで薬局で買える) とか、

 そんなこと言っても、しっかりと患者さんに向き合ってくれる医師っているの?

(日本の家庭医・かかりつけ医不足問題)とか・・

 

 そういうことに目を向ける良いきっかけなのではないでしょうか?」

 

 

「え〜、結局どうすれば・・・」

 

「・・・そもそも、どうすればいい?って専門家に聞いて終わりにしよう

 と思うことが間違っているのです。そうして、判断を専門家に外注して、

 専門家に責任転嫁している時点で、当事者意識の欠如の現れだと思いますよ!

 何で自分の健康問題なのに、自分で考えて、自分で責任持たないんですか?」

 

「はあ、そうですか。ありがとうございました。」

 

 

 

ま、大体こんな感じですね。

こんな感じなので、記事にならない・・(^_^;)

 

 

 

 

週刊誌を読んで迷ったときに考えるべきこと。

 

以上の電話対応のポイントをまとめますと、

 

慢性期医療・高齢者医療の患者さんが

週刊誌の「薬は飲むな」を読んで迷ったときに考えるべきこと、

僕が医師として勧めるポイントは以下。

 

 

 

 

◯慢性期医療・高齢者医療の世界では多くの場合きっちりした正解はない。

◯だからこそ「医師におまかせ」にせず、しっかりと自分で勉強して悩むことが大事。

◯勉強したこと、悩んだことを話し合えるような「かかりつけ医」を持って、

◯その「かかりつけ医」と相談しながら薬を決める。

 

こんなところじゃないかな、と思います。

 

 

 

 

つまり、このイラストの右側のような医師・患者関係を築きましょう。

ということですね。

 

f:id:mnhrl-blog:20161004102113p:plain

(世界で一番読まれている医学書「Where There Is No Doctor(医師のいないところで)」デビッド・ワーナー著の一節。)

 

 

 遠回りのようで、多分これが一番の近道なんじゃないかな、と想います。

 

 

 

 

こんなことが国民的議論になれば・・・

世界はまたちがう景色になると思うんですけどね。

 

 

 

 

でも・・この僕の考え方、今の世の中ではちょっと突飛かもしれませんね(^_^;)

皆さんはどう思われるでしょうか。

 

 

 

 未来に残すべき
『価値あるアイデア』を。

 

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170215084705j:plain

爺ちゃん婆ちゃんが輝いてる!
職員がほとんど辞めない!
施設で職員の結婚式も!
最期は家族のようにお看取りまで…

…辛い・暗いの介護のイメージをくつがえす
「あおいけあ」流介護の世界。
加藤忠相を講師に迎えた講義形式で展開
される講義の受講生はおなじみのYさんとN君。

マンガ・コラム・スタッフへのインタビューなど
盛りだくさんの内容でお送りする、
まさにこれが目からウロコの次世代介護スタイル。

 

超高齢化社会も、これがあれば怖くない!

 

書籍ページへ →

 

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170215085310p:plain

★★★★★★★★★

日本医学ジャーナリスト協会
優秀賞受賞作品(2016)
★★★★★★★★★

財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から
医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、
日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

森田洋之 著

 

書籍ページへ →