Dr.森田の医療・介護お悩み相談室

1971年横浜生まれ。経済学部卒後、医師に。夕張市立診療所の元院長。財政破綻で病院がなくなっても夕張市民は元気だったよ!医療費も減ったよ!と論文やTEDxで発表したところ各界から総スカンを食らう。今は鹿児島県でフリーランス医師。懲りずに執筆・講演・研究・web発信など儲からないことばかりやっている。

日本人の『孤独度』は世界トップクラス!? 〜きずな貯金のすすめ〜

f:id:mnhrl-blog:20170709134402p:plain

 

 先日、こんなニュースが流れてきました。

『孤独は喫煙と同じくらい健康リスクがあるとの研究結果』

https://www.lifehacker.jp/2017/07/170707_lonely_badhealth.html

 

『孤独』と『喫煙』が同レベルで健康に悪い?

 

ビックリですね。でもこの研究、実は2010年とちょっと古めのもので、すでに広く知られているものなのです。

 

 こちらの書籍、2014年発行の『友だちの数で寿命はきまる〜人との「つながり」が最高の健康法〜(石川善樹)』

 

 

 にもこの研究は詳しく掲載されています。

 

曰く「(この研究は)2010年に行われたアメリカのブリガム・ヤング大学のホルトランスタッドという研究者によるもの。20世紀と21世紀に行われた148の研究(総勢30万人)をメタアナリシス(複数の研究結果を統合)した結果、「タバコを吸わない」「お酒を飲みすぎない」「運動をする」「太り過ぎない」と行った項目よりも、『つながり』があることの方が寿命を長くする影響力が高い、という結論。」

 

とのこと。

 

f:id:mnhrl-blog:20170709140833j:plain

『友だちの数で寿命はきまる〜人との「つながり」が最高の健康法〜(石川善樹)』2014年、株式会社マガジンハウス発行、p.17より引用

 

 『社会的孤立』が健康に大きく影響する、逆に『つながり』があることが寿命を長くする。とても衝撃的な研究結果だと思います。

 

 では、我々日本人の『社会的孤立』・『つながり』の度合いはどうなのでしょう。

 

 様々な調査・研究がありますが、代表的なものが2つあります。

一つは、内閣府が日本・アメリカ・ドイツ・スウェーデンの「高齢者」を対象に比較調査を行ったもの。

 

 主な結果は以下。

 

f:id:mnhrl-blog:20170709141916j:plainf:id:mnhrl-blog:20170709141908j:plain

f:id:mnhrl-blog:20170709141912j:plain

 

参照:ILC-Japan・国際長寿センター日本発行「われらニッポンの75歳」p.43, p46から引用。元データ:内閣府「平成27年度第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(調査対象は各国とも75~79歳)

 

 残念ながら、日本の高齢者は、『地域の活動に参加する人の割合がドイツ・スウェーデンの約半分』、『同居の家族以外に頼れる友人がドイツ・スウェーデン・アメリカの半分以下』、『親しい友人がいない割合が、同3国の倍以上』という結果です。

 

 もちろん、西欧諸国とは家族構成も違うでしょう。地域の活動に出なくても、親しい友人がいなくても、同居・別居の家族内でのつながりが強く、日本の高齢者はそこでの『つながり』を重視しているのかもしれません。

 ただ、これから高齢独居世帯、老老世帯などが増加することを考えると…、だからこそ今後はもっと地域の『つながり』が尊重されてもいいのかもしれません。

 

 とはいえ、これは『高齢者』を対象にした調査結果のお話。若者まで含めた調査結果はどうなのでしょうか。これが2つ目の調査結果。OECD(経済協力開発機構)によるものです。

 

 主な結果は以下。

 

f:id:mnhrl-blog:20170709141344g:plain

参照:「社会実情データ図録・社会的孤立の状況」http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html元データ:Society at Glance : OECD Social Indicators-2005 Edition.

 

 こちらは年齢限定なしの結果。…やはり残念で意外な結果ですね。

 

『友人・同僚などとの付き合いが全くor めったにない』と答えた人が日本人が15%で20カ国中トップ!

 

 欧米各国といえば、『個』を重んじる『自由な社会』のイメージが強いですが、実は日本人よりもずっと『友人・同僚』などとの付き合いを重視しているようなのです。

 

 「社会的孤立」が、喫煙・肥満・過度な飲酒より健康に悪い!のならば、この結果は日本人が真摯に受け止めるべきものなのかもしれません。

 

 いや、健康に影響するとかしないとかそんな問題の前に、『孤独な人が多い』社会というものは、それ自体が健全なものではないのではないか?とも思えてきます。

 

 では、我々はどうすればいいのでしょう。

 

 実は、この問題を重要視し、改善に向けた実践をされている方々も日本には多くおられます。地域の『つながり』・『きずな』を重視し、それを『貯金』のように貯めていこう=地域に『きずな貯金』を貯めていこう、という取り組みはすでに、日本でも各所で行われているのです。今回はそんな、日本での取組みを少しご紹介します。

 

隣人祭り

 

 そもそもは、フランスのアタナーズ・ペリファンさんが、「地域で付き合いのない高齢者が孤独死していた」ことにショックを受け、「もう少し住民の間に触れ合いがあれば、悲劇は起こらなかったのではないか」と考えたことから始まりました。祭りと言ってもさして大掛かりなものでもなく、地域の人たちが食べ物や飲み物を持ち寄って集い、食事をしながら語り合う、ただそれだけです。年に一度のこの祭りの習慣、いまやヨーロッパを中心に29ヵ国、800万人が参加するそうです。

 

詳細は以下の本に詳しく載っています。

隣人祭り (ソトコト新書)  アタナーズ ペリファン (著), 南谷桂子 (著) 

 

 この流れは、日本でも始まっています。 すでに、『隣人祭り日本支部』http://www.rinjinmatsuri.jp/ が組織されています。また、渋谷区では隣人祭りからヒントを得て『渋谷おとなりサンデー』という企画が行われました。

 

f:id:mnhrl-blog:20170709155151p:plain

https://www.shibuya-otonari.jp/

 

 

 こちらのサイトを見る限り、当日は大盛況だったようですね。その他にも、「都会に田舎を作る」と地域の『きずな』をつないでおられる世田谷区の『せたカフェ』さん(http://seta-cafe.com/)などの例もあります。

 

 

 …考えてみれば、このブログでご紹介したこちらの2例も、地域の『きずな貯金』を貯める活動です。

 

 こちらと、

www.mnhrl-blog.com

 

      

 

親が認知症!?→ 疑い始めから要介護4まで…『自宅で独居』出来てます!その3つの秘訣とは。

f:id:mnhrl-blog:20170710083918p:plain

http://www.mnhrl-blog.com/entry/2017/6/30/arimurasan

 


 

 



 確かにこれらの活動は、ちょっと凄すぎ!常人離れしたもので、簡単には真似出来ない…と思います。確かにそうかもしれない。

 

 でも、僕らにも出来ることはたくさんあります。

 

もし、近所の人との関係が疎遠なのであれば、勇気を出して

「笑顔で挨拶」してみてはいかがでしょう?

 

もし、すでに近所の人と挨拶程度はできるけどそんなに付き合いはない、というなら

「旅行に行った時のお土産」を渡してみてはいかがでしょう?

 

お土産を持っていったら、そのうちお返しがもらえるかも。

そんなやり取りをしているうちに仲良くなってきたら、

その時勇気を出して

 

「ご近所で隣人祭りしてみませんか?」

 

と切り出してみたらどうでしょう?

近くの居酒屋で飲むだけでもいいのです。

 

 

 ま、そうは言っても、なかなか一朝一夕には行かないと思いますが(^_^;)。

 

 最期に、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ氏らが提唱する『きずな貯金』的な見解を紹介します。

 

「社会的なつながりをもつことで、暮らしの質が多くの面で向上する。最も楽しめる社会的諸活動の多くが社交をともなうものなのでより多くの社会的つながりがもっている人ほど、人生に高い満足度を見出している。」


参照:「社会実情データ図録・社会的孤立の状況」http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html。元データ:ジョセフ・E.・スティグリッツ、ジャンポール・フィトゥシ、アマティア・セン「暮らしの質を測る―経済成長率を超える幸福度指標の提案 」金融財政事情研究会、原著2010年、p.83~84

 

 地域の『きずな貯金』が溜まっていくことで、

ご近所の高齢者の、そしてあなたの健康が保たれるなら、

その労は、決して高いコストではないような気がします。

 

 さあ、今日から『一歩』踏み出してみませんか?

 

 

  

  

 

秘密は… 『きずな貯金』

 

破綻からの奇蹟表紙画像

f:id:mnhrl-blog:20170328113538p:plain

 

財政破綻・医療崩壊・さらに高齢化率日本一。
悪条件に取り囲まれてしまった夕張市。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。


破綻後に医師として乗り込んだ筆者は、
それでも夕張市民が笑顔で生活していたことに驚く。
事実、財政破綻後のデータは夕張市民に
健康被害が出ていないことを示していた。

「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」

もしそれが事実なら、一体なぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。
夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から日本の
明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

 

森田洋之 著

 

f:id:mnhrl-blog:20170310155238p:plain

親が認知症!?((;゚Д゚)) → 疑い始めから要介護4まで…『自宅で独居』出来てます(๑•̀ㅂ•́)و✧!その3つの秘訣とは。

f:id:mnhrl-blog:20170630143501p:plain

 お悩み相談

60代主婦です。最近、田舎で一人暮らしの母(88歳)の物忘れが激しくなってきています。約束をすっかり忘れてしまったり、財布の置き場所がわからなくなって探し回ったり、タマゴがあるのを忘れてまた買ってしまい、冷蔵庫にタマゴが何パックもあったり、そんなことが続いていて心配しています。兄弟の話の中では「今のうちに高齢者施設などに移ってもらったほうが安心」という話も出てきています。長年住みなれた家だし、ご近所さんとも仲がいいので、母は嫌がると思いますが…。こんな時、どうすればいいのでしょうか?

 

 

 

登場人物

 

f:id:mnhrl-blog:20170220142607g:plain

森田先生:とりあえず何でも診る総合診療(プライマリ・ケア)の医師。40代。

 

f:id:mnhrl-blog:20161017164800g:plain


Yさん:2人の子を持つ30代専業主婦。元病院看護師。

 

 

 

 

森田「今回は認知症気味?の遠方のお母さんのご相談ですね。」

 

Yさん「娘さんの気持ち、よく分かるわ〜。家族としてはこのまま一人暮らしは不安。施設に入ってもらったほうが安心。…でも、本人はなかなかね〜。…って、あれ?先生、この相談この前やったわよね。マンガで解説!って回で。」

 

詳細はこちら

 ↓ ↓ ↓

 

 

森田「そうそう、実はそうなんです(笑)。そうなんですけどね。このお話は結構重要なテーマなので、もう一回やりたいな〜って思ってまして、そしたら、これの解説にちょうどいいお話があったので、皆さんに紹介しようかと思いまして。」

 

Yさん「へ〜、どんな話?」

 

森田「鹿児島で理学療法士をしておられる、有村宣彦さんと、お母さんのお話です。ちょうどこの相談のように、認知症で独居。次第に幻視などの症状が重くなってきて…どうしようか悩んで、でもお母さんの気持も大切にしたい!で、現在要介護4の重度認知症まで進行しているのに…たまに警察のお世話にもなっているのに…今でも自宅で独居が継続出来てますよ。という…そんなお話です。」

 

Yさん「え〜!?、ちょっとそれ危ないんじゃない?。認知症の要介護4で独居?警察にも?…家族と同居ならまだわかるけど。。」

 

森田「そうですよね。Yさんは看護師さんだから、こうした方が普通ならどうなるか、というところまでご存知だと思います。知っているからこそ、そう言われるのだと思います。ま、でもとにかく、この話がどうゆうことなのか、話を聞いてみないと分からないですよね。そこには3つの秘訣があるということです。」

 

Yさん「そうね。ま、聞いてみましょうか。」

 

 

 有村さんの場合。 

 

 


『そこに誰かいるがね』

有村さん「4年前、突然電話がかかってきたんです。『家に男の人が住み着いている』って。…本当なら大事ですよね(笑)。何か事件に巻き込まれてるんじゃないか?と不安になりながら実家に駆けつけると、母は普通にそこに居て、でもテーブルにはカレーが2皿準備されていて…母はその男の人の分も準備してたんですね(笑)。それが始まりでした。その後、よくある『お金がないと言って探し回る』とか『11月に蚊取り線香を焚く』とか。色々症状が出だして…正式に『レビー小体型認知症』と診断されるわけです。その診断が出る頃には幻視もかなり強くなり、『ここは合宿所か!』と思うほど大量の食事を作ったりしてました(笑)。」

 

 f:id:mnhrl-blog:20170630111827p:plain

有村さんのお母さんにはこのクッションが『人』に見え、『そこに誰かいるがね』となる。

 


有村さん「やはり一番厄介な症状は幻視です。鏡に映る自分が他人に見えて、ずっと話しかけるんです。なので、家の鏡は、ビミョーに顔が見えないように(笑)…こうしました。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170630135223p:plain

 


有村さん「『2階にいるおじさんが下着を盗むから、隠しておく』なんて言い出したり、布団も何人分も敷いたり。他人?なのに食事も作って寝床も準備して…ある意味優しい人ですよね(笑)。まあ大変でした。症状も波があり、いいときは『物忘れの多いただのオバサン』なのですが、症状が強くでているときはもう何をやってもダメでした。」

 

 
「どこにも行かない、ここで1人で住む」

有村さん「そんな状況でも母は『病気でもないのに薬なんて飲む必要ない!』と言って服薬を拒否していました。認知症ではよくあることですよね。恥ずかしながら、イライラして私が母に薬を投げつけてしまったこともありました。…しかも、母の希望は一貫して変わらず、「どこにも行かない、ここで1人で住む」です(笑)。自宅に居たいのなら、家族としては、『訪問介護やデイサービスなど、介護保険のサービス』を利用して欲しいところですよね。でも母は『私はきちんと生活している。絶対に利用しない!』の一点張り…もう笑えません(笑)。いや本当は、生活だって出来てないんですよ。スーパーへ行くにしても、道順も品物もお金の計算も全部わからない。食事だって、料理の手順から食器の選択から調理器具の扱いから、全部分からない。入浴だって、『浴室に誰かいる』から始まって『浴室の窓と隣の家がつながっている』とか言い出して…。」


『地域に頼る〜実家で認知症カフェ〜』


有村さん「正直なところ、『もうどうにもならない!』と悩んでいました。母の希望ではないけど、なんとか説得して、ある意味騙してまでも…施設入所を考えたこともありました。でもある時、実はご近所の方々がさり気なく母をサポートしてくれていた事を知ったんです。『伸びていた庭木を切ってくれる』とか『食事を持って来てくれる』とか『散歩(徘徊?)中も声をかけてくれる』とか…。母は、老人クラブや町内会の婦人部にもしっかりと顔を出していたので、皆さん実は気にかけていてくれたんですね。…とはいえ、奇異な行動が目立つ母です。もしかしたら、逆に近所で変な噂が流れているかもしれない。…いや、だからこそ、近所の方々には母についての正しい情報を知っていて欲しい。認知症に対する正確な情報も知っていてほしい。母には近所の方々との関わりをなくしてほしくない。そう思うようになりました。…そこで、実家のすぐそばにある『デイサービスおたふく』さんに相談しました。母曰く「(デイサービスには)行きたくないけど、来てくれるのはいい」と(笑)。だったら、近所の方々、民生委員さん、おたふくのスタッフさんなど、みんなに『実家』に集まってもらって、『認知症カフェ』を開催しちゃえばいい、という話になりました。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170630111326j:plain
自宅で認知症カフェ。近所の方にお母さんのことを説明する有村さん。

f:id:mnhrl-blog:20170630112947p:plain
ご近所のみなさんも軽食を食べながら。

 


有村さん「当日は、私が母の症状を説明し、母も思いを語り、また逆に近所の方々からも『おたふく』さんへの相談事が出てきたり、とても盛り上げりました。やはり、ご近所の方々も母の事を密かに心配してくださっていたんですね。でもこういうことって、他人から『大丈夫?』ってなかなか言い出しにくいですよね。ですので、近所の方々からも『こうしてお母さんの事をしっかり説明してくれてありがとう』『私達も協力するわ』という声をたくさん頂けました。このことには、本当に勇気をいただきました。

 

 f:id:mnhrl-blog:20170630113045p:plain

心配してくれていたご近所の方々と握手。

 


有村さん「当初は母もまだ要介護1でした。でも今は、要介護4(最高は5まで)です。認知症の症状ももちろん進行しています。この前は、雨の中を徘徊していた母を保護した警察から電話がありました。さすがにもうだめか!と思いましたね。あとから聞いたんですが、実はこれまでにも、散歩(徘徊?)の途中にご近所の方が声をかけていただいて自宅に連れ戻してくれていたり、私の耳には届かないような未遂事件?が何回もあったそうなんです。あらためて、ご近所の方々の、さりげないサポートを受けているからこその独居生活なんだな、ということを実感しました。

 今、それでも母は…、訪問看護も受けながら、「おたふく」さんには週4回通いながら、自宅で生活しています。

 要介護4の今の状況で、母の希望通りの自宅生活(独居)が出来ているのは本当にありがたいことです。それが母の希望ですから。なぜそんな事が出来るのか…。それは、もちろん訪問看護やデイサービスのおかげ、ではあるわけですが、大元をたどれば、やはりこの状況の根底には、『地域の方々の暖かな理解・眼差し』、また、『孤立しそうになっていた我々家族』と『地域の方々』をつないでくれた、『認知症カフェ』とそれを開いてくれた『デイサービスおたふく』さんの存在が大きくあるのではないか、と思っています。」

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170630115823p:plain

「デイサービスおたふく」のスタッフと。


独居を見守る家族、その3つの秘訣。

有村さん「要介護4で独居なんて、『そんな危険なことを!』と思われる方もおられるかもしれません。確かに、この状態がいつまで続くかはわかりません。明日、施設入所の申込みをしているかもしれません。でも、なんとか母の想いを、「自宅に居たい」というその気持ちを大事にしたいとも思っています。そのためには、母のことを、地域に、世間に『隠しません!』。ご近所さんにも、訪問看護さんにもデイサービスにも、どんどん『頼ります!(自分だけで)頑張りません!』。そして頼るために『発信します!』。この3つが、私のようなダメ息子が思いつく、『母を守る方法』なんです。」

 

f:id:mnhrl-blog:20170630120635p:plain

お弁当を配達してくれた「おたふく」の水口さんと 。

 

 


Yさん「は〜、また有村さん、すごい人ね。私も一応看護師だけど、こんなこと考えつかないわ!」

 

森田「そうですね。有村さんのどの辺が普通と違うのか。有村さんも言っておられる3つのポイントじゃないかな。と思います。」

 

Yさん「え〜…これね。『隠しません!』『頼ります!(自分だけで)頑張りません!』『発信します!』の3つね。以前紹介があった、熊谷先生の『依存先を増やす』にちょっと似てるわね。」

 

詳細はこちら

 ↓ ↓ ↓

 

 

 

森田「そうですね。自戒を込めてですが、我々医療従事者は、医療的なこととかはよく勉強しますが、この辺りのことは疎いですよね…。」

 

Yさん「うっ!確かに!『ご近所へ隠さない、頼る、発信する!』、なんて学校でも病院でも習わないもん。私だったら、ご近所には『隠す』かも…ましてや『発信』なんて絶対しないかも…」

 

森田「そうですよね。有村さんのお母さんが要介護4なのに、希望通りの『自宅生活(独居)』ができている背景には、有村さんのそうした思い切った姿勢があるのかもしれないですね。」

 

Yさん「でも、みんなが出来ることじゃないわよね〜。」

 

森田「そうですね。一番最初の『お悩み相談』も、状況は有村さんと似ていますが…、だからと言ってなかなか真似できるものではないですよね。認知症と言っても、いろいろで、一概にこれが正解!とも言えないわけで、真似すればいいとも言えないですし。ま、でもたとえみんなが『出来る』ことじゃないとしても、こうした方法があると『知って』おいてもいいのかな、と。」

 

Yさん「ま、そうね。」

 

森田「この『自宅で認知症カフェ』、これまで有村さんとデイサービスおたふくさんで3〜4回実施してきたそうです。ご近所からの評判も良くて、『私のときもこうしたらいいのね』とか『認知症の方って、こうして普通に生活できるのね。抵抗がなくなったわ。』などと、とてもいい反応を頂いているそうで、今後も継続予定らしいですよ。」

 

Yさん「へ〜、『自分たちのため』だけでなく、そうした『周囲への影響』、という意味でも素晴らしい取り組みなのね。」

 

森田「そうですね。なかなか出来ることではないかもしれないですけど。こうした事例から、我々もどんどん学んでいきたいですね。」

 

 

 

有村さんの爆笑講演を聞いてみませんか?講演依頼はこちらまで。

    ↓ ↓ ↓

f:id:mnhrl-blog:20170630133528p:plain

https://www.mnhrl.com/contact/

 

 

 

有村さん、デイサービス「おたふく」の水口さん、森田も参加しているのが、『鹿児島医療介護塾』です。塾の勉強とつながりの中から、こうした取り組みが生まれています。興味のある方は是非ご参加ください!

     ↓ ↓ ↓

 

f:id:mnhrl-blog:20170630133905p:plain

http://bit.ly/2tvOiEy

 

 

 

  

  

 

未来に残すべき『価値あるアイデア』を。  

   

あおいけあ流介護の世界表紙画像

 

爺ちゃん婆ちゃんが輝いてる! 職員がほとんど辞めない!

施設で職員の結婚式も! 最期は家族のようにお看取りまで…

…辛い・暗いの介護のイメージをくつがえす

「あおいけあ」流介護の世界。

加藤忠相を講師に迎えた講義形式で展開

される講義の受講生はおなじみのYさんとN君。

マンガ・コラム・スタッフへのインタビューなど

盛りだくさんの内容でお送りする、

まさにこれが目からウロコの次世代介護スタイル。

超高齢化社会も、これがあれば怖くない!

 

森田洋之・加藤忠相 著

 

書籍ページへ →

 

 

破綻からの奇蹟表紙画像

★★★★★★★★★

日本医学ジャーナリスト協会 優秀賞受賞作品(2016)

★★★★★★★★★

 

財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、

しかも高齢化率は市として日本一。

果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。

しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が

出ていないことを示していた。

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。

「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」

それが事実なら、それはなぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と

生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。

夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、

また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、

夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。

本書は、医学的・経済学的な見地から

医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、

日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

 

森田洋之 著

 

書籍ページへ →

 

 

 

 

 

 

【勝手に地域包括ケア!】コミュニティ・デザインの鉄人『小泉圭司』さんが繰り広げる『制度に乗らない』からこそ出来ちゃうその驚愕の仕事たちとは!

f:id:mnhrl-blog:20170619172519j:plain

 

 

「スーパーで働いていたとき、朝から晩までずっとスーパーにいるお婆ちゃんがいたんです。どうしてこのお婆ちゃんはずっとスーパーにいるんだろう?他に居場所がない?いや、居場所を探してるのかな?…とか、いろいろ考えちゃったんです。いや、このお婆ちゃんはスーパーまで来てくれるけど、男性だったら外に出ないで自宅で引きこもってるのかも?…今でさえ年金や医療・介護費などの社会保障費が大変と言っている。これから高齢化がもっと進んだらどうなるの?って。…でも調べてみると、65歳以上の高齢者のうち要介護状態の方々は2割しかいない。後の8割は元気な方々なんですね。で、もしこの元気な高齢者の多くが居場所を探しているんだとしたら、これは大変な社会の損失。高齢になっても、元気なうちは誰かの役に立てばいい。困ってる人もいる、誰かの役に立ちたい人もいる。だったら僕がそのコーディネート役をやればいい、居場所も作っちゃえばいい。そうしたらみんなの居場所も出来て、介護予防になって…。そんな気持ちで作ったのが、コミュニティ・カフェ『元気スタンド・ぷリズム』。勤めていたスーパーに辞職願を出し、脱サラしての開業でした。」


 こう語ってくれたのは、「小泉圭司」さん。埼玉県の幸手市でコミュニテイカフェを経営されています。僕が知る範囲では、おそらく日本一「勝手に地域包括ケア」をやっちゃってる人だと思います。では一体、小泉さん、何をやってるの?…ということで今回は、彼のKCHC(=勝手に地域包括ケア)な仕事を見ていきましょう。

 

 


「地域包括ケアシステムとは?」

 

 その前に、そもそも「地域包括ケアシステム」って何でしょう?

 

厚生労働省のHPにはこう書かれています。

地域包括ケアシステム

「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/  

 

 我々医療・介護業界の人間にとっての「地域包括ケア」は、ついつい『医療と介護のシステム』とか『医療・介護の連携』などの部分に大きなウェイトが置かれがちです。確かにそれは「地域包括ケアシステム」のとても大切な要素なのですが、でも、それとは別に、厚労省は「住まい」「予防」「生活支援」も一体的に提供されるべき、ということをしっかり言っているんですね。

 

 冒頭の小泉さんのお話に出てきた、スーパーで一日過ごしているお婆ちゃん、もし彼女が『地域社会の中で居場所がない』と感じているのなら、それはおそらく『生活に困っている状態』と言えるでしょう。社会の中で「居場所がない」「阻害されている」と感じることは、非常に「生活」や「健康」の質に影響しますから…。そう考えると、彼女の『社会的な役割』や『居場所』を探しを支援することは、立派な「生活支援」。さらにそれは「介護予防」にも繋がるかもしれません。そういう意味では、小泉さんの発想は、非常に「地域包括ケア的」な発想です。

 

 そして小泉さんの『地域包括ケア』には、医療・介護業界のような確立した制度がない分、ある意味「勝手に、やりたい放題できちゃう!」部分があります。さあ、小泉さんのKCHC=勝手に地域包括ケアとは一体どんなものなのでしょうか?

 

 

 ◯暮らしの保健室

f:id:mnhrl-blog:20170619173127p:plain

 

 小泉さんのカフェでは、月に一回、看護師さんによる「暮らしの保健室」が開かれます。「病院に行くほどではない」「介護を受けるほどでもない」「でも誰かにこの不安を話したい、相談したい」、そんな高齢者は街に大勢います。そうした方々の相談事を、無料でお受けするのが「暮らしの保健室」。訪問看護師・秋山正子さんが新宿で始められたもの(こちらは毎日開催)を、小泉さんのカフェでも月一回取り入れています。地域の医療・介護連携に力を入れておられる、近くの東埼玉総合病院の看護師さんをお呼びしての開催です。

 

 

 

 

 ◯幸せ手伝い隊

f:id:mnhrl-blog:20170619180115j:plain

f:id:mnhrl-blog:20170619180154j:plain

 

 こちらは、地域で「役に立ちたい人」と「困っている人」をつなげるサービス。どちらの方も、会員登録をしてもらい、一回につき少しの謝礼(現金ではなく地域で使える商品券)を通じてつながってもらうサービスです。例えば、「電球を変えたいけど、手が届かない」「外出をしたいけど1人では転んだりしないか不安」「単純に話し相手になって欲しい」などなど。具体的な流れは以下の通り。

 

「困っている人」がカフェでチケットを買う

  ⇓

その時、カフェに「困っていること」「手伝って欲しいこと」を伝える

  ⇓

カフェが「役に立ちたい人(サポーター会員)」に依頼する

  ⇓

サポーター会員が手伝いに行く

  ⇓

謝礼としてチケットが渡される

  ⇓

手伝った人は、チケットをカフェで商品券に交換する

  ⇓

その時、カフェは「手伝った時の状況」の報告もうける

  ⇓

手伝った人が商品券を商店街で使う

  ⇓

商品券を受け取った商店はカフェで換金する。

 

 

 こうして地域経済が良い循環で回っていくわけですね。

 

ていうか、「困ってる人」「手伝いたい人」の受付も対応も、手伝いの報告管理も、チケットの発行も商品券の管理も、全部小泉さんがやってる!(^_^;)。つまり、これがやりたいがために、商店街を巻き込んで『地域商品券』を小泉さんの発案で作っちゃった、ということなんですね。困っている高齢者も、誰かの役に立ちたい高齢者も、商店街のお店の人たちも、みんなを繋げてコミュニティーを作っていく。小泉さんがコミュニティ・デザイナーと呼ばれる理由は、こういうことなんですね。

 

 

 

 ◯レンタルセニアカー

 

 まだまだあります。こちらはレンタル・セニアカー。

 

f:id:mnhrl-blog:20170620104653j:plain

 

 免許不要の電動車いす(スズキのセニアカー)を購入し、一回500円(4時間)で貸し出しています。

 

「馴染みのカラオケ店に行きたいけど、足が弱くなったので諦めている」

「仲良しの友達の家まで行きたいけど、往復タクシーは高く付くので・・」

 

 など、「ちょっとしたお出かけが出来る」だけで、行動範囲をぐっと広げられる、笑顔になれるお年寄り…実は結構多いものです。小泉さんのところでは近年利用者がぐっと増えて来ていて、もうすぐ初期投資(セニアカー購入代)を回収できそう、とのことでした。

 


◯「幸せのしおり」づくり

 

 小泉さん、勝手に(いや、埼玉健康と暮らしを支える市民勉強会と協力して(^_^;))こんな冊子を作っています。

f:id:mnhrl-blog:20170620115812j:plain

 

 中身はこんな。

 

f:id:mnhrl-blog:20170620120256j:plain

 

 社会福祉協議会・市の介護福祉課、健康増進課・地域包括支援センター・老人福祉センターなど、いろいろな部署が出している情報を調べ尽くして網羅し、勝手に冊子にして配る。何でそんなことするの?その答えは最後のページにその答えが書かれていました。

 

「家から少しでもお出掛けをしたくなるきっかけとして、

家にいながらでも今より少しでも生活を便利にするために。

もっともっと地域にはたくさんの支えがあります。

話しかけやすい人、声をかけやすい機関に遠慮なく声をかけてください。」

 

お問い合わせ先:元気スタンド・ぷリズム

協力:埼玉健康と暮らしを支える市民勉強会」

 

◯その他

 まだまだあるので、あとはちょっとずつ。

 

 いろいろと仕掛けづくりをしても、男性は腰が重く、来るのは女性ばかり……ということは往々にしてあるものです。そこで、小泉さんは男性が喜ぶ(?)『キャバレー』を企画しました。

 

f:id:mnhrl-blog:20170620135427j:plain

 

 栄養士さんや看護師さんたちも、華やかな衣装で参加されたそうです。

 

 

 

「人生これから!引退するにはまだ早すぎる!!」ということで、小泉さんは、「ハローワーク」と「シルバー人材センター」の合同就職説明会を開催しました。

 

f:id:mnhrl-blog:20170620140803j:plain

 

 

 

 冒頭の小泉さんの写真の横に、実は高齢者の見守りセンサー(体温や振動を感知して、さり気なく安否の確認をしてくれるセンサー)があります。

f:id:mnhrl-blog:20170620142055p:plain

 

 これも、小泉さんのカフェで貸出受付をしています。

 

 

 

 すごいですね。これらの事業、小泉さんが、周りの方々のお手伝いをいただきながらほぼ1人でやっているそうです。もちろん、カフェもやりながら。いつ行っても、小泉さんがコーヒー淹れてくれるので、オーナー兼ホール係でもあるわけです…。しかもこれらの事業、ほぼほぼ収益は上がらないそうです。ま、地域の高齢者が元気になるために、といろいろ考えて、制度にないことを勝手にどんどんやっているわけですから、ある意味「採算性がない」のは当たり前かもなのですが…。

 

 でも振り返って我々、医療介護従事者の日常を考えてみると、本当はその人に必要なことなのに…「制度にない」とか「点数が取れない」とか、こちら側の理由で諦めざるを得ないことも多々あります(自戒を込めて)。いや、もしかしたら制度に縛られてしまうからこそ、かえって高齢者の生活を縛ってしまうこともあるのかも。先日、ある有料老人ホームに行ったら、こんな紙が貼ってありました。

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170620154440p:plain

 

 もちろん、デイサービス居てもらわないと介護報酬が貰えないとか施設側の都合は分かります。でも、7時間も高齢者の自由を奪ってしまう制度、それに縛られてしまう介護って…何なんでしょう。これが高齢者の生活支援なんでしょうか。

 

  介護の世界は民間企業が多いので、それも仕方ないことかもしれません。でも、一般的に考えられているような、『民間企業による自由な競争(=自由市場)が、サービスの向上、適正な価格という社会全体として最適な状態(パレート最適)をもたらす』というイメージは、介護の世界ではあまり通用しないのかもしれません。これも「市場の失敗」なんでしょうか…(「市場の失敗」については、以下を参照してください。)

 

 

 

 

 

  そんな介護現場の現状から考えると、そもそも制度になんか期待していない、そもそもそれ自体で収益を上げることなど考えていない、ただ地域の方々が元気になる事だけを考えて行動する……そんな小泉さんは、ある意味後光がさして見える存在です。

 

 

 

f:id:mnhrl-blog:20170620173908j:plain

ある日のカフェの風景。地域のお客さんで一杯です。

 

 


 小泉さんのカフェでコーヒーを飲んでいたら、ある中年男性が来られました。母親の介護で閉じこもりがち、なかなか社会に馴染めていない方、とのこと。しばらく雑談した後小泉さんは、

 

「銭湯に行きたいけどなかなか行けない高齢の方がいるんですけど、手伝ってもらえませんか?」

 

と、「幸せ手伝い隊」に、さり気なく誘っておられました。こうして、困ってる人たちを繋げ、みんなの居場所を作っているんですね。流石のKCHCのコミュニティ・デザイナー!みんなが元気になれる社会に向けて、僕たち医療・介護業界も負けていられないところです!

 

 

 

 「地域包括ケアってこういうことだったんだ!」

f:id:mnhrl-blog:20170505080218j:plain

f:id:mnhrl-blog:20170328113538p:plain

財政破綻・医療崩壊・さらに高齢化率日本一。
悪条件に取り囲まれてしまった夕張市。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。


破綻後に医師として乗り込んだ筆者は、
それでも夕張市民が笑顔で生活していたことに驚く。
事実、財政破綻後のデータは夕張市民に
健康被害が出ていないことを示していた。

「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」

もしそれが事実なら、一体なぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と
生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。
夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から日本の
明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

 

森田洋之 著

 

f:id:mnhrl-blog:20170310155238p:plain